JULIO SILVA(フリオ・シルバ) は1930年アルゼンチンに生まれ、現在パリを中心に活躍中の作家です。一時シュールレアリスムの影響下におかれたのち、1955年渡仏後はアレシンスキーらと共にコブラ団体への参加を経て、独自の制作活動を続けています。
フランス国内ばかりではなく、ヨーロッパ各地で数多く開かれてきた個展に際しては、美術評論家ばかりでなく多くの文学者が序文を寄せており、中でも同じアルゼンチン出身の作家、フリオ・コルターサルとは深いつながりをもち、一緒に数多くの仕事を行ってきました。1975年には、シルバのパステル画にコルターサルが物語をつけた「シルバランド」を制作し、フランスをはじめ数ヶ国で出版されています。錫鮠
また、絵画ばかりでなく彫刻も手掛け、それらの作晶はフランス国内の学校、広場、パリ郊外の近代建築都市デファンスなど、あちこちで目にすることができます。1979年にはフォラーム・デ・アール広場のために「PYEGEMALI0N」を制作し、その作品とオーディオビジュアルの展覧会がジョルジュ.ポンピドゥー・セン夕一で開かれました。錫鮠
シルバは意識下に潜入するが、彼がそこから持ち出してくるものは病的な奇形の怪物ではない。彼の世界は忌まわしさとか変態性とは無縁である。それはグロテスクというよりはむしろ楽園的率直さのようなものを備えたパントマイム的世界と言える。(中略)彼の絵に登場する物体は擬人化された表現的存在感をフルに備え持つ。それらは個性を持ち、ある情緒を伝達する。それらは観貫者に生き生きとした、峙には衰愁のこもった視線を投げ返す。それらは私たちを凝視することにより私たちを魅了する。
Saul Yurkievich
サウル・ユルキェヴィッチ
カタログ序文より